宇都宮市今市浄水場


 宇都宮市水道のシンボル 水道資料館[背景は日光杉並木](土木学会選奨土木遺産)(国登録有形文化財登録に答申)
 今市浄水場は、宇都宮全市民待望のうちに大正2年(1913) 11月に着工し、大正5年(1916) 3月に給水を開始しました。日本では31番目に古い施設です。
 水源は、日光市中宮祠の中禅寺湖から華厳の滝、大谷川を流れ、所野第三発電所を経由した水を、円筒分水井より最大14,400/日を取水し、今市浄水場まで導水しています。この施設は、緩速ろ過方式によりろ過した浄水を、高低差を利用した自然流下方式で石那田配水場へ送水しています。
 創設当時は、中禅寺湖に水源補給の補水口を設け、今市町瀬川地先から取水し、浄水場を経て戸祭配水場に送水していました。
 長い水道史のうちには、昭和24年(1949)の今市地震で、今市浄水場の導水、送水などの重要施設に壊滅的被害を受けた歴史があります。
 昭和60年(1985)には、厚生省企画による「近代水道百選」に歴史的価値ある施設として、また、環境・景観的に優れた施設として選ばれました。旧管理棟は赤い半切妻屋根の白い木造の洋館で、宇都宮市水道のシンボルとなっています。現在は、水道資料館として使われています。
 土木学会は平成17年度(2005)の土木学会選奨土木遺産に選びました。県内受賞は晩翠橋(本ホームページ掲載)に次ぐものです。
 国の文化審議会は平成18年(2006)6月16日、大正3年(1914)に建築された、現在の水道資料館を国登録有形文化財に登録するよう小坂文部科学相に答申しました。今回の答申により、県内の国登録有形文化財(建造物)は159件となります。

円筒分水井
 円筒分水井は、東京電力㈱が所野第三発電所を設置するにあたり、栃木県の今市用水改良事業計画を補完するため、県が昭和28年(1953)に建設しました。
 円筒分水井から宇都宮市水道に6ケ (0.167?/s) 分水されています。
(注 1ケ=1立方尺=0.0278㎥)


浄水場 緩速ろ過池
 漏水防止のため、側壁の前面を緩い斜面状に工夫されているのは、全国の浄水場でもめずらしく、また、煉瓦デザインの調整室建屋が水面に映える姿は美しいです。
沈澱池築造工事
        (市制施行二十年記念写真)
創設当時の瀬川取水口
                   (市制施行二十年記念写真)
中宮祠補水口工事
            (市制施行二十年記念写真)



中宮祠補水口水門
 補水口は、冬季の渇水や夏季の干ばつなどにより、水が枯渇
するおそれがありますので設けました。

                 (市制施行二十年記念写真)
    現在は、中禅寺湖歌ヶ浜水位観測所になっています。
 零点高=TP 1272.438m
 この鉄柵は当時のまま残っています。    







所 在 地

管 理 者
建設時期
用途・目的
規   模





日光市(旧今市市)瀬川
宇都宮市
大正 5年(1916) 3月1日給水開始
上水道、浄水場
沈殿池 : コンクリートブロック造、
       有効容量 5,000㎥×2池
緩速ろ過池 : コンクリートブロック造、
          ろ過面積 944㎡×3池
          ろ過面積 1,160㎡×1池
最大取水量 : 14,400㎥/日
最大給水量 : 14,000㎥/日
案 内 図

参考文献
宇都宮市水道誌 完 ・宇都宮市役所
うつのみやの水道(通水70周年記念)・宇都宮市水道局総務課

目次に戻る 次は宇都宮市戸祭配水場へ